少年よ、恐れるな!

少年よ、恐れるな!

 
 
2019/08/24
 
 
家の近所に通称「亀岩」という川遊びスポットがある。
 
水がとんでもなく綺麗なエメラルドグリーンで、都市部ではなかなかお目にかかれないレベルだ。
 
そして今日も貸し切りで、悠々と泳げる。
 
その川の脇に車を停めて、片足ずつゆっくりと水に浸かる。
 
冷たい。
 
海の水温とは比較にならないくらい冷たい。
 
暑い夏には最高だ。
 
 
水の冷たさに体も慣れてきた頃、ふと気がついた。
 
こ、これは!
 
飛び込めるではないか!!
 
2~3メートルくらいしか高さは無いが、陸地だったら怪我をする高さだ。
 
 
私は喜びを爆発させ、チビは恐怖に打ち震えている。
 
 
何度か私がお手本を見せ、いざチビの番だ。
 
「ちょっと待って…」
 
と言ったきりチビは動かない。
 
 
うちのチビは深刻なほどのビビりで、再婚当初は驚いた。
 
鳩が怖いから公園では遊べない、
 
水が怖くて自分で顔も洗えない、
 
橋は崩れたら怖いから渡らない、
 
犬も猫も怖い、
 
サッカーは習いたいが飛んでくるボールが怖い、
 
海も川も遊園地も怖いので、
 
プールに連れて行っても、恐怖のあまり吐き戻してしまう程のビビりだった。
 
 
「家の中でオセロしてるのが一番好き」
 
これは小学2年生の時のチビの暴露である。
 
 
その後、少しずづ出来ることが増え、怖いことも減り、
 
最近では「ビビりは恥ずかしい」と自覚し始めている。
 
犬も猫も今では大好きだ。
 
 
さあ、飛べ。
 
少年よ、恐れるな。
 
 
万が一に備え、水中で待機する私。
 
寒い、、、
 
動かないでじっと待てる温度ではない。
 
 
「またか…」
 
諦めかけたその時、
 
 
 

 
 
大きく深呼吸し、チビは飛び込んだ。
 
いつになく爽快感たっぷりの顔をしている。
 
 
楽しくなったのか、何度も飛び込む。
 
 
ふむ、子供とはこうやって成長していくのか。
 
自分のペースで。
 
 
ここは宮崎県延岡市の北端、
 
北浦町の山の中だ。
 
自由にやんちゃ出来るフィールドはいくらでもあるぞ。
 
たくさん怪我をして、たくさん成長してくれたまえ。
 
 

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